医療・介護現場での労務管理
なぜ労務管理が重要なのか
■労務管理の必要性
「発展する企業にはどんな共通点があるのでしょうか」
世の中にはこの命題に対する多くの関連書籍やセミナーが多く存在します。そして様々な観点からその秘訣が説かれています。それぞれが重要なものと考えられますが、やはり最も重要なのは「ヒト」ではないでしょうか?
企業は社長をはじめとする「ヒト」が運営しています。さまざまな「ヒト」が活動して組織が形成されています。この「ヒト」達が十分に持てる力を発揮し、生き生きと活動しているという状態が理想ではないかと考えます。
しかし現実はどうでしょうか?
職場がぎすぎすしている うつ状態になっている やりがいを感じない等々 「ヒト」が疲弊していませんか?
企業において「ヒト」を活かすためには、有効に労務管理を行う必要があります。管理というと語弊があるかもしれませんが、適切な労務管理を行うことで働きやすい環境を整備する。「ヒト」がその企業のルールに従い、働きやすい環境で活動することで生き生きとしてくる。そんな組織づくりのためには、しっかりとした労務管理が必要です。
「ヒト」を活かす労務管理が必要なのです。
■医療での労務管理の重要性
「医療現場ではどうでしょうか」
医療現場で働く「ヒト」達が強い不満を持っていたり、メンタル不調である場合、患者さんに対するサービスの質は通常の時よりも劣化していることは明白です。医療の質や医療安全の面からも危険な状態であるということは言うまでもありません。
人材招聘の面からも労務管理の充実は重要です。優秀な医療スタッフほど、どの病院を選択しようと考えるとき、やりがいのある職場を選ぶものではないでしょうか。人材の流出を防ぎ、優秀な人材を招き入れる組織力向上のためにも適切な労務管理は必要なのです。
適切な労務管理こそが重要なリスクマネージメントなのです。
■労務管理で目指すべきもの
「自院のビジョンやミッションとは」
それぞれ自院のビジョンやミッションをお持ちだと思います。その実現のために日々努力奮闘されていることと思います。しかしながら、院長先生おひとりでその実現は不可能です。組織を形成する「ヒト」がビジョンやミッションを共有して活動してこそ、その達成が約束されます。
適切な労務管理で「ビジョンやミッションの共有」「勤務負担の軽減」「やりがいの創造」「健康的な職業生活」「働きやすい職場形成」「キャリア形成支援」等々により個々のモチベーションの向上を達成し、組織力の向上を実現していけます。セクショナリズムを排斥し、ひとりの患者さんにチームで取り組んでいける組織作りを実現して行けます。
適切な労務管理はビジョンやミッションを達成するツールなのです。
■実現のための方法
「専門家の活用とPDCAサイクル」
私たち社労士ができることは限られています。
適切な労務管理を実施するためには、様々な課題があり困難なことがたくさん出てくると考えられます。ひとりの専門家の力ではとても解決できません。ひとつひとつの課題をたくさんの方々と連携し議論しPDCAサイクルで解決していくことで、素晴らしい職場環境が醸成されていくと思います。
また、多くの方々から意見を拾い上げ、一緒に解決していく。このように困難な状況を皆で乗り切っていくことで組織力が向上し、「ヒト」達が十分に持てる力を発揮し、生き生きと活動している状況が生まれてくると考えます。そのために、専門家である私たち社労士をアドバイザーとして活用していただければと切に願います。
主役は現場の方々です。